冬の葬儀──コート選びで迷ったら

冬場の葬儀に参列する際、「喪服の上に何を羽織ればいいのだろう」と悩む方は多いものです。普段使いのコートをそのまま着ていってよいのか、弔事にふさわしくないコートはあるのか──意外と情報が少ないのがコートのマナーです。
この記事では、男性の喪服に合わせるコートの色・素材・デザインの基本ルールから、避けるべきNGコート、脱ぐタイミング、マフラーや手袋の扱いまで詳しく解説します。寒い季節の弔事に備えて、ぜひ参考にしてください。
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コートの色──黒が最適、ダークカラーも可
弔事用のコートは、黒がもっとも適しています。喪服全体のトーンに統一感が出て、もっともフォーマルな印象になります。
許容される色
- 黒:最適。弔事専用のコートとして1着持っておくと安心です
- 濃紺(ダークネイビー):黒に準じるダークカラーとして許容されます
- チャコールグレー(濃いグレー):こちらも許容範囲内。明るいグレーは避けてください
避けるべき色
- キャメル・ベージュ・ブラウン:暖色系の明るい色は弔事にふさわしくありません
- 明るいグレー:カジュアルな印象が強く、弔事では浮いてしまいます
- 原色やパステルカラー:言うまでもなくNGです
弔事専用のコートを用意するのが理想ですが、難しい場合は普段使いの黒や濃紺のコートで代用しても問題ありません。
コートのデザイン──シンプルなものを選ぶ

弔事にふさわしいコートは、装飾を抑えたシンプルなデザインです。
おすすめのデザイン
- チェスターコート:テーラードジャケットに似たデザインのコート。きちんとした印象で弔事にもっとも適しています。ビジネスにも兼用できるため、1着あると非常に便利です
- ステンカラーコート(バルカラーコート):襟が小さく立ち上がったシンプルなデザイン。カジュアルすぎず、弔事でも安心して着用できます
- スタンドカラーコート:襟が首に沿って立ち上がるデザインで、すっきりとした印象になります
避けるべきデザイン
- ダウンジャケット:防寒性は高いですが、カジュアルな印象が強いため弔事には不向きです。どうしてもダウンしかない場合は、できるだけシンプルなデザインのものを選び、式場に入る前に脱いでください
- フード付きコート:カジュアルな要素が強いため、弔事には適しません。フードが取り外せるタイプであれば、外して着用すれば問題ありません
- ピーコート:もともと軍用コートで、カジュアル寄りのデザインです。弔事では避けた方が無難です
- トレンチコート:ベルトやエポーレット(肩章)などの装飾が多く、弔事にはやや不向きです。ただし、黒やネイビーのシンプルなトレンチであれば許容されることもあります
素材のマナー──毛皮・アニマル柄は厳禁
コートの素材選びで特に注意が必要なのは、毛皮(ファー)と動物柄に関するルールです。
おすすめの素材
- ウール:もっとも一般的で弔事に適した素材です。保温性と上品さを兼ね備えています
- カシミヤ:柔らかく上品な光沢があり、フォーマルな場にふさわしい高級素材です
- ウール×カシミヤ混紡:両者の良いところを兼ね備えた実用的な素材です
避けるべき素材
- 毛皮(ファー):リアルファーはもちろん、フェイクファーも弔事では避けるのがマナーです。殺生を連想させるため、襟元のファー飾りも外してください
- アニマル柄(ヒョウ柄・ゼブラ柄など):華美であり、殺生を連想させる要素もあるため厳禁です
- ナイロン・ポリエステルのスポーティーな素材:機能的ですがカジュアルすぎます。ウールやカシミヤ調の上品な質感を選びましょう
コートの着脱マナー──いつ脱ぐべきか
コートの着脱タイミングにもマナーがあります。以下のポイントを押さえておきましょう。
式場に入る前に脱ぐ
弔事のコートは、式場の建物に入る前に脱ぐのがマナーです。具体的には、玄関や入口の手前で脱ぎ、畳んで腕にかけた状態で入場します。
クロークがある場合
クロークが設置されている式場であれば、コートを預けましょう。クロークがない場合は、畳んで自分の席の横や膝の上に置きます。椅子の背にかけるのは見栄えが悪いため、できれば避けてください。
屋外での着用
火葬場への移動時や屋外での待ち時間など、式場の建物外ではコートを着用して問題ありません。寒さで体調を崩しては本末転倒ですので、無理に薄着を続ける必要はありません。
出棺時の対応
出棺の見送りは屋外で行われることが多いため、コートを着用してもマナー違反にはあたりません。ただし、周囲の参列者がコートを脱いでいる場合は、それに合わせるのが望ましいでしょう。
マフラー・手袋のマナー
冬場はマフラーや手袋も必要になります。弔事でのルールを確認しておきましょう。
マフラー
- 色:黒、紺、グレーなどのダークカラーを選びましょう
- 素材:ウールやカシミヤがおすすめ。フリースやアクリルのカジュアルなものは避けてください
- 柄:無地が基本です。控えめなチェック柄程度は許容されますが、派手な柄は避けましょう
- 着脱:コートと同じく、式場に入る前に外して畳みましょう
手袋
- 色:黒が基本です
- 素材:革またはウールが適しています
- 着脱:式場に入る前に外します。焼香の際にもつけたままにしないよう注意してください
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まとめ
冬の弔事におけるコート選びのポイントを整理します。
- 色は黒が最適。濃紺やチャコールグレーも許容される
- デザインはチェスターコートやステンカラーコートがおすすめ。ダウンジャケットやフード付きは避ける
- 毛皮・アニマル柄は厳禁。ファー飾りも外すこと
- コートは式場に入る前に脱ぐ。クロークがあれば預ける
- マフラー・手袋はダークカラーの無地。式場に入る前に外す
弔事用のコートは、ビジネスでも使えるシンプルな黒のチェスターコートが1着あれば十分です。冬の弔事は寒さとの戦いでもありますので、防寒対策をしっかりしつつマナーも守れる装いを心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 黒いダウンジャケットしかない場合、葬儀に着ていっても大丈夫ですか?
A. フォーマルな観点からは避けるのが望ましいですが、真冬の寒さの中で薄着を我慢する必要はありません。ダウンジャケットしかない場合は、できるだけシンプルなデザインのものを選び、式場に入る前に脱いでクロークに預けるか畳んでおきましょう。今後に備えて、黒のウールコートを1着用意しておくと安心です。
Q. コートは式の間ずっと脱いでいなければいけませんか?
A. 式場内(建物内)では脱いでおくのが基本です。ただし、火葬場への移動中や屋外での待ち時間はコートを着用して構いません。体調を優先し、屋外で我慢しすぎないようにしてください。
Q. 女性の喪服コートと男性の喪服コートでルールは違いますか?
A. 基本的なルール(黒やダークカラー、毛皮禁止、式場で脱ぐなど)は男女共通です。女性の場合はフォーマルなデザインのダウンコートが許容されるケースもありますが、男性は襟付きのウールコートやチェスターコートを選ぶのがより無難です。
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